2018-03-17 11:23:05テーマ:ブログ
~マジックウォッシュ加工~
一般的にユーズド加工・ダメージ加工と呼ばれますが、
ほとんどの加工は電動カンナで生地表面を削って色を落とす方法です。
あと砂を高圧で吹きかけるサンドブラストという方法があります。
ボクの加工はオールハンドメイド!電動機具不使用です!
(薬品をさらい落とす際、洗濯機は使います)
四当分に切ったタオルに、水で薄めたブリーチ剤を染み込ませ、
ヒゲのラインやボディアタリの形になるよう擦り付け、乾くまで待ちます。
それを5回から6.7回繰り返し、ジーンズ1本出来上がるのに5・6時間
掛かります(乾燥時間を省く)
なぜそんな時間がかかるのかというと、ブリーチの濃度を濃くすれば
反応速度が上がり時間短縮出来ますが、繊細な陰影が表現できず
キレイな表情にならないし、生地が傷みます!
目指すのは、何年も穿きこんだジーンズと見分けがつかないほどの
リアリティー!
そのために、あえて反応が鈍くなるようブリーチ濃度を薄くして、
手数を増やして繊細な表現ができるようにしています。
生地の傷みも最小限になりますし!
もう一つ重要なのが、マジックウォッシュ前の下手間!(コンディション作り)
下手間とは・・・
下洗い(生地の糊落とし)→自然乾燥→揉み込み(乾燥で固まった糸をほぐす)
→毛焼き(バーナーで浮いた横糸を焼いて表面をキレイにする)→裏・表両面
アイロンがけ→約半日放置(アイロン時のスチームが完全に蒸発するまで)
これだけの前工程を終えて、ようやくマジックウォッシュに入れるんです!
加工を思いついたのは岡山での修行時代の平成6年(1994年)ごろで、
ヴィンテージジーンズを数本所有していたんですが、
元々生地が弱っているのに毎日穿いて仕事をしていましたので傷みが早く、
補修を繰り返すようになってきました。
で「このヴィンテージジーンズの色落ちを新品に移植できたら
ええのになぁ~」つまり、ヴィンテージジーンズの風合いをコピーできれば、
オリジナルは穿かずに置いといて、そのコピーを何度でも複製し穿き潰せる!
まずは近くのホームセンターでトイレ掃除・台所用品など
市販の薬品を買い集め、デニム生地の色を落とせるものを探すことから
研究がスタートしました。
ここで立てた目標は、特別な装置や専門的な薬品は使わない!
一般的に手に入るもので全てを賄う事!
最大の利点は、開発費が少なく使用スペースが小さく、身一つでどこででも
加工が可能!
余談ですが、このコンセプトがのちに実際に役立つことになりました。
2002~2003年秋冬物ヨウジヤマモト パリコレクション当日、予定になかった
サンプルに急遽加工依頼があり、ヨウジヤマモト 社パリアトリエにて、
ボクが指定した薬品などを揃えていただき、7体のコレクションサンプルに
マジックウォッシュ加工し、その7体全てがランウェイに!
研究開始から今年(平成30年/2018年)で24年!
四半世紀近くやってきて今思うのは、
もっともっと上手くなりたい!
やっぱり品質向上には、ゴールはないです!
ブランド理念
『研き上げた本質・創り上げた良質』
大園 英樹
有限会社スポテッドホースクラフト
〒590-0047
大阪府堺市堺区二条通2-17
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