2020/01/13 10:14

令和2年1月12日(日)こんにちは!

再投稿シリーズ  2017年1月27日 投稿 

旅編4
2002年3月7日 パリ。

プティ・パレを会場にしたパリコレ当日の早朝、ホテルの電話が鳴りました。
時差ボケの頭で考えたのは、ここはフランスやったなぁと・・・
受話器を上げて

「ボ・ボンジュール!」


「「あぁ大園さん、朝早くからすいませぇんY社のKです」」
(わぁ~めっちゃはずかしいぃ~、
ボンジュール言うてもた!)
「おはようございますKさん、どうされました?」


「「急いでアトリエに来ていただけませんか」」


作らせてもらったサンプルに問題でもあったんかなぁ・・・
そんなことを考えながらとにかくアトリエに急行。


「「今日のコレクションに大園さんのマジックウォッシュ加工を追加したいんですが加工の道具持ってきてますよね!」」

(えぇ~道具を持っていくなんて1mmも考えて
なかったぁ~)


「持ってきてないですが、ボクのいうものを揃えていただけますか?バケツ・タオル・ビニール手袋・ブリーチ剤・・・あと狭くてもいいんで、集中できる場所がほしいです」


コレクション当日でバタバタとあわただしく
ピリピリムードのなかでKさんは、スタッフの方にてきぱきと指示をだし、2,3メーターの
空間をシーチングで4方を囲んで専用の場所を作ってくださいました。

フランスのブリーチ剤がボクの思うような色落ちをさせてくれるのか?・・・もうやるしかない!

やってみると遜色なくコツさえつかめば使える!
1着目を何とかこなしY先生に見ていただきました。

なんと一発OK!

これで方向性が見えたんで、頼まれた枚数を搬出時間までにできるか、時間との戦いに入りました。


しばらくすると、なんかシーチングの外がザワザワし始め、気になって外に出てみると、モデルさんのフィッティング中、その時ちょうど、外国人べっぴんモデルさん素っ裸!!

ええもん、いや、えらいもん見てもたぁ!

一枚の生地を挟んだ向こう側に素っ裸の女性がいると思うと、もう全く集中できません。

もっ一回だけ見るかぁ・・・あかんあかん!

それでもなんとか集中力を取り戻し、時間内にマジックウォッシュを終わらせました。

一仕事というか大仕事を成し遂げた安堵感から、コレクションの時間までゆっくりとカフェのテラス席で一人、赤ワインをルネッサァ~ンス!!

いい調子のほろ酔い気分で、会場へ。

指定の席に行ってみると、Y先生のお母様のとなり!!
うわぁ、オレ酒臭い!
しもたぁ、ガムも持ってない!どうしょぉ~・・・

まぁええかぁ~!

タンゴの調べとともにコレクションが始まりました。
初めて観る本物のパリコレ!
なんやこの異様なかっこよさ!

自分が加工させてもらったのを着たモデルさんたちが出てきた時、オレも間接的やけどパリコレに参加できたんやぁって、湧き上がる涙をこらえるのに苦労しました。


実は昔、パリコレに憧れてたんです。
19歳の時、心斎橋のBALという当時のカリスマファッションビルでDCブランドのハウスマヌカン(洋服の販売員)をしていました。
当時は、店の中にテレビモニターを置き、コレクションの映像など繰り返し流してそのシーズンのイメージをお客さんに伝えるのが主流で、そのランウェイを颯爽と歩くモデルさんがかっこええ!やってみたい!
と憧れるようになりました。でも調べてみると
身長178cm以上がほとんど!

ボク177,5cm・・・5ミリたらん無念!

(後で聞いたんですが、5ミリくらい高くいうのは有り・・・らしいです!?)

そんな思いがあったんで、デニム業界には影響がうすいパリコレですが、ボクにとってはリアルな夢の舞台やったんです。コレクションが終り、Kさんを見つけて挨拶だけして帰ろうと、バックヤードのほうに行くとY先生がフラッシュを嵐のように浴びながらの囲み取材を受けておられるところでした。
こんなことろも生で見れた・・・
取材陣やらスタッフやらでごった返す中やっとKさんを見つけお礼をいって帰ろうとすると、
コレクション後の食事会に誘ってくださいました。
で、教えられた駐車場に行ってみると、でっかい観光バスが!

すでに数名のY社スタッフさんが乗っていたんで、ボクも乗り込んで雑談をしてたんですが、
各ブランドがコレクション後にレセプションパーティーを華やかに開催するという話になったとき、ボクのかっこでY社のパーティーに出て大丈夫ですかと聞いたら、ウチの会社はパーティーではなく社員だけのお疲れ様会だそうで。えっ、いや、Kさんにお声をかけていただいたんですが、ひょっとして空気読めてない!?


「ボク帰りますわぁ~!」


「「いや、例外がないわけじゃないんで、
大丈夫ですよ!」」

そんな会話をしてる間に全員そろって、バス出発!
着いたのはイタリアンレストランで、浮かれ騒ぐことなく着席していきます。戦い終わった戦士のように静かなオーラを発している皆さんを見渡すと、疲れ果てた中に達成感を味わっているええ顔してるんです!女性も男性もみな
おっとこまえ!です。

そしてY先生のお言葉とともに静かで清らかな宴が始まりました。

優しい味の食事と美味いワインで満たされていくなか、Y先生がボクのテーブルに来てくださり、ねぎらいの言葉をかけてくださいました。


服職人として最高の一日を過ごさせていただきました。
これがボクのヨーロッパ初旅行の記憶です!



大園 英樹

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